2006年MYベスト10

今年も多くの作品を読む事が出来ましたが、昨年以上に読書の幅が広がりました。
「忍法帖」シリーズや「京極堂」シリーズみたいに短期間に集中して読めたのもプラスだったと思います。

そんな中で今年自分なりに楽しめた作品を便宜上順位付けしたのが以下のランキングです。
去年は場当たり的に年末にやったので数が多すぎて苦労したという経験を生かし、今年は上半期と下半期と称して2度のランキングを長編と短編の部門に分けて行い、その上で年間ランキングを作成しました。
幾つかの作品は年間ランキングで大きく順位を上下させていますが、それは年間ランキングを作るまでの心境や趣向の変化が影響したものとなっております。


 <長編部門・上半期ベスト10>
 
 1位・伊坂幸太郎 「砂漠」
 2位・米澤穂信 「クドリャフカの順番 「十文字」事件」
 3位・東川篤哉 「交換殺人には向かない夜」
 4位・連城三紀彦 「人間動物園」
 5位・東野圭吾 「悪意」
 6位・米澤穂信 「犬はどこだ」
 7位・東野圭吾 「容疑者Xの献身」
 8位・桜庭一樹 「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」
 9位・恩田陸 「六番目の小夜子」
10位・中西智明 「消失!」

 <長編部門・下半期ベスト10>

 1位・京極夏彦 「魍魎の匣」
 2位・恩田陸 「夜のピクニック」
 3位・山田正紀 「ミステリ・オペラ」
 4位・麻耶雄嵩 「神様ゲーム」
 5位・横山秀夫 「クライマーズ・ハイ」
 6位・宮部みゆき 「模倣犯」
 7位・山田風太郎 「風来忍法帖」
 8位・舞城王太郎 「煙か土か食い物」
 9位・京極夏彦 「絡女婦の理」
10位・桜庭一樹 「少女七竃と七人の可愛そうな大人」



 <長編部門・年間ベスト10>



 10位・東野圭吾 「悪意」
「容疑者X」でタイトルを総なめにした東野さんですが、個人的には「加賀刑事」シリーズの「悪意」の方が好きですw
本格ミステリとしての面白さも詰まっているのが嬉しいですね。



 9位・宮部みゆき 「模倣犯」
嫌でも「屍鬼」を思い出す大作ですが、質・量共に文句なしです。
まだ単行本化されていませんが、続編も気になります。



 8位・横山秀夫 「クライマーズ・ハイ」
今年初読みの作家さんの中で最も惹き付けられましたw
ここまで好みに合うと思いませんでしたが、ここまで格好良い人間を描かれては脱帽です。



 7位・東川篤哉 「交換殺人には向かない夜」
ミステリとしてまんまと騙されたというだけでなく、シリーズを重ねる毎に愛着が沸いているのでこの順位。
現在、ユーモア・ミステリを書かせたら右に出る人はいないでしょう。



 6位・山田正紀 「ミステリ・オペラ」
本格ミステリの総決算的な大作。
山田正紀さんの作風の多彩さは驚嘆に値しますが、未読作が多いので来年は頑張って読みますw



 5位・麻耶雄嵩 「神様ゲーム」
東川さんがユーモア・ミステリの代表なら麻耶さんはブラックユーモア・ミステリの代表でしょうww
子供の読者も多いミステリーランドでも堂々と我が道を行くのですから大好きですww



 4位・米澤穂信 「クドリャフカの順番 「十文字」事件」
「古典部」シリーズの集大成的と言える文化祭を描いた傑作。
語り手が古典部の4人というのが良いですし、次々に起こる事件もユニークで青春小説としても素晴らしいです。



 3位・伊坂幸太郎 「砂漠」
こちらも青春小説の傑作で、どこまでも伊坂さんらしいキャラや台詞が光ります。
近年の伊坂作品には珍しく、ミステリとしての仕掛けもあったのが好印象でした。
そろそろ新作が出てくれないかな。



 2位・恩田陸 「夜のピクニック」
今年から本格的に読み始め宮城県出身ということもあって大好きな恩田さんですが、その作品の中でもぶっちぎって好きですw
設定の巧さを十二分に活かした物語展開には最後まで引き込まれます。



 1位・京極夏彦 「魍魎の匣」
やっと読んだ「京極堂」シリーズですが、年内に最新作に追い付けて本当に良かったw
シリーズ中でも何もかも巧く作用したのが今作だと思いますし、私にとっては非の打ち所がない大傑作と言えます。



 <短編部門・上半期ベスト10>
 
 1位・加納朋子 「ささらさや」
 2位・伊坂幸太郎 「終末のフール」
 3位・恩田陸 「象と耳鳴り」
 4位・乙一 「ZOO」
 5位・伊坂幸太郎 「チルドレン」
 6位・菅浩江 「歌の翼に ピアノ教室は謎だらけ」
 7位・大倉崇裕 「白戸修の事件簿」
 8位・伊坂幸太郎 「魔王」
 9位・奥田英朗 「イン・ザ・プール」
10位・伊坂幸太郎 「死神の精度」

 <短編部門・下半期ベスト10>

 1位・恩田陸 「光の帝国 常野物語」
 2位・加納朋子 「てるてるあした」
 3位・京極夏彦 「どすこい。」
 4位・乙一 「失はれる物語」
 5位・菅浩江 「永遠の森 博物館惑星」
 6位・京極夏彦 「今昔続百鬼―雲」
 7位・京極夏彦 「百器徒然袋―雨」
 8位・森奈津子 「西城秀樹のおかげです」
 9位・菅浩江 「五人姉妹」
10位・光原百合 「時計を忘れて森へいこう」


 <短編部門・年間ベスト10>



 10位・菅浩江 「歌の翼に ピアノ教室は謎だらけ」
今年3作読んだ菅さんの作品は全て傑作で上位にランクインしましたが、その中で最もお気に入りなのが今作ですね。
テーマは少し重めですが、ミステリとしても人間ドラマとしても良く出来ていると思います。



 9位・伊坂幸太郎 「チルドレン」
全編に渡って伊坂さんらしさが溢れた短編集ですが、その中でも我が道を行く陣内が素晴らしいですw
いずれWOWOWで放送されたドラマ版も観てみたいですね~。



 8位・乙一 「失はれる物語」
角川スニーカー文庫刊の乙一作品のベスト版という感じです。
前に読んでいても再読で新たな発見があるだけでなく、オマケも多彩なのが嬉しいですね。
何度も書きますが、後書きと「失踪HOLIDAY」が収録されていれば1位も夢でなかったですw



 7位・恩田陸 「象と耳鳴り」
今から考えると少し珍しいミステリ色の強い恩田作品。
真相に辿り着くまでの緻密な論理性が素晴らしいですし、ファンにはお馴染みの関根一家の活躍が多いのも良かったです。
また、こういう短編集が読んでみたいですね。



 6位・伊坂幸太郎 「終末のフール」
最初の狂乱が去り、終末への弛緩した雰囲気が漂うタイミングに仙台の団地を舞台にするという伊坂さんならではの設定を最大限に活かしています。
設定上、ノンシリーズなのが惜しい位のキャラが多数出ております。



 5位・乙一 「ZOO」
今回、最もジャンプアップした作品ですが、これは満足度の高い映画版を観た影響が強いです。
乙一さんの多彩な作風が最も滲み出た作品ですが、世に言う黒乙一が苦手な人には少し辛いかもしれないですねw



 4位・京極夏彦 「どすこい。」
読む前は、ここまで上位に持って来るとは全く想像していなかった伏兵ですw
何度も書きますが、難解さを理由に京極さんを敬遠している方に是非とも読んで欲しいですね。
この馬鹿馬鹿しさにドタバタ具合は並大抵ではないですよww
パロディ作品ですが、元ネタを知らなくても全くの別物になっていて平気なのも好感が持てますw



 3位・加納朋子 「てるてるあした」
全く期待を裏切らない「ささらさや」の続編ですが、こちらは前作を読んでいる方が楽しめますね。
このシリーズは両作品ともラストで泣かされてしまいましたが、いや本当に早い内に読めて良かったです。



 2位・恩田陸 「光の帝国 常野物語」
「常野」シリーズ開幕という色合いが濃いですが、今作に収録された数編の連作だけでも十二分に満足出来てしまいますよ。
連作の描き方や物語の持って行き方がとにかく巧いと思います。
当然、来年は続編を読むことが目標ですw



 1位・加納朋子 「ささらさや」
もう今年で加納さんは殿堂入りで良いと思える位に「てるてる~」と併せて至高の読書体験が出来ましたw
完全にツボにはまったと言うか、今シリーズで加納さんが描いたキャラや台詞、物語と全てがお気に入りです。



蛇足ながら付け加えておくと今年の下半期ランキングは11月末までに読んだ作品から選んでおり、今後は半年毎にランキングを作って行きたいと思います。
次回は来年の5月末までに読んだ作品で2006年の上半期ランキングという形になります。
その時に苦労してランキングを作れるような充実した読書ライフを来年も送りたいと思います♪


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